「へ?」

「正直、最初はめっちゃヒいたけどね。
後になって何だか2人だけのセカイがあるってのは…いいなって思ったんだ。
何より君が、とっても嬉しそうだったから。
俺も……あんな顔、彼女にさせたいなって」

「そ、そうですかぁ、何だか恥ずかしいな」


2人でエレベーターに乗り、和気藹々と談笑しているうちに、自宅前に着いた。

「しっかしさ。やっぱりスゴいよ、トーコちゃんは。
いくら結婚したとはいえ、あの大神が1人の女で満足にするなんて前代未聞…ん?」

カチャリと開けた玄関先に、エナメルのハイヒールが乱雑に転がっている。

「……トーコちゃんの?コレ」
 
ブンブンと首を横に振る。

2人は目を見合わせた。

と、その瞬間。

ガタンっ‼

奥の方から、大きな物音が聞こえた。

2人はコクリと頷き合うと、奥の部屋へと急ぐのだった……