「な、何よ。当然でしょ?
欲しいものは何がなんでも手段を選ばずに奪う、相手の都合なんか考えてたら出来ないわ。
だって、それがホンキってことでしょう?」

確かに。

「…君の言うことは全く正しい。俺もかつて、そう思っていた時期もある。
でも実際は違うんだ。
相手を思いやれないのは、ただの我が儘に過ぎなかった。
ヒトから奪ったモノで、自分は幸せにはなれない。
だから……
君には相応しい相手が他にいる」

「………」
 
彼女は黙り込んだ。


10数秒の沈黙の末___

意思の固さを悟ったのだろう、彼女がガックリと頭を項垂れた。

「…どうしても、だめ?」

「ああ、悪いね。
さ、早いうちに帰りなさい
君の、本物のアイを探すために…」

説得、完了。
サラバ魔境。

然り気無く微笑むと、立ち尽くす彼女に背を向けた。