目が覚めるとそこには白い天井が広がっていた。

「んっ...ここはどこだろう?」

誰に言ったでもない質問に返答が返ってきて驚いた。

「ここは保健室だ。」

「えっ?どうして伊川先輩がここに?」

「気絶したお前を俺がここに運び込んだからだ。」

「ありがとうございました。先輩。」

私がそう言うと先輩は嬉しそうな表情をして問うてきた。

「あの戦いは俺が勝利したから、お前は俺たちの族に入ってくれるということでいいんだな?」

私は正直に答えた。

「はい。私は負けたので、緋向に入ります。」

私がそう言うと、伊川先輩は私に言った。

「もうー人紹介したい奴がいるんだが、あいにく今日は学校に来てなくてな。紹介は明日でもいいか?」

「はい。私は緋向に入った人間なので総長であるあなたの意志に従います。」

「お前勘違いしてるぞ。お前は下っ端じゃなく姫になるんだ。」

あれ?そんなこと言ってたっけ?
あ、なんかそんなこと言ってたような言ってないような。

「まあ確かに勘違いしてたみたいですけど、約束はちゃんと守らないといけないので、緋向の姫になります。」

私がそう言うと閉じていた力一テンが開き、さっき緋向の幹部が出て来た。

「さっきは罵ったりしてすみませんでした。」

「全然大丈夫!俺たちが弱かったのは事実だしね。こちらこそごめんね。」

「俺も他の族に負けたことがなかったので調子に乗っていました。すいませんでした。」

「影乃先輩、こちらこそ生意気なこと言ってすいませんでした。」

「大丈夫ですよ。そういえば勝負の時に言っていたあなたの家の事情を教えていただけませんか?」

「すいません。緋向の姫になると決まっただけで、まだあなたたちのことを信用したわけではないので今は話すつもりはありません。」

その言葉を聞いた影乃先輩がしかたなさそうな表情をした。

「そうですね。まだ家のことまで話せるほど仲が良くなったわけではありませんからね。また、信用できたと思ったらいつでも話してください。」