モノクロの世界で







「おーりえ来た来たー」

津川さんに手を引かれるがままに歩いてたどり着いた先は屋上。不気味な音がする建て付けの悪いドアを開けるとそこには一面の青が広がっていた。
今日は天気がいいなぁなんてぼうっと考えていると、奥の方に座っている伊村さんが手を振りながら津川さんを呼んだ。
その対面に胡座をかいて座っている名城くんと目が合ったので、軽く会釈をすると緩い笑顔を返してくれた。


「わーい裕芽ちゃーんっ」

ぶんぶん手を振り返す津川さん。
元気だなと思う。

「行こっ青羽ちゃんっ」


そう言って差し延べられた手がほんの少し嬉しくてくすぐったくて。
短く返事をして差し延べられた手に軽く触れる。