「青羽ちゃーん次理科室だってー実験だよーぅ」 休み時間の度に津川さんは話し掛けてくる。移動教室の時は一緒に行こう、と言いながら。 私はと言うと大体何も言わずに立ち上がってその場から離れる。 それでも津川さんは話し掛けてくる。追い掛けてくる。―へこたれもせずに。 前を歩く私の後ろに微かな上靴の音がする。欝陶しいとも、津川さんが他の子達から顰蹙(ヒンシュク)をかうのではという不安もあった。でもやっぱり…少しだけ、少しだけ。 嬉しくて、くすぐったかった。