あーあ。なんであんな地味男がわたしの幼なじみなんだろう。


桃矢には悪いけど、どうせならこのマンガに出てくる王子様みたいな人だったらよかったのに。



未だに心配そうにわたしをチラチラ気にしてくる桃矢を見ていたら、余計にそう思えてきた。


はぁ……疲れる………。


ふいっと桃矢から視線を外してようやく席に座り直すと、


「あははっ、杉浦ってまじヘタレの代表格だよね〜」


蘭が大口を開けて笑っていた。


別に笑うところじゃないんだけど!?

桃矢がヘタレなのは今に始まったことじゃない。

なんていうか、生まれたときから?


「あんまり桃矢のことイジるのやめてよね!後でわたしが泣きつかれて困るだけなんだから」


家だって隣同士だし、今でも毎日のようにお互いの家を行き来するくらいの仲ではある。


地味でヘタレでただの手の掛かる幼なじみだけど、もうここまでくると家族みたいな存在だ。