「さすがにアレって酷くない〜?あんたたち“幼なじみ”でしょ?」

「うぐっ……つい勢いで………」





教室の隅でビクビクと肩を震わせながらわたしを見る彼────杉浦桃矢とは小さい頃から一緒の幼なじみだ。


あんなのが幼なじみだなんて正直認めたくはないけどね。


寝癖がついたボサボサな髪の毛と、目元まで伸びた長すぎる前髪。

結べてないネクタイ、しわのついたシャツ。

身長は180センチ近くあるくせに猫背で常に下を向いている。


そして普段からなにかとビクビクして鬱陶しい。

しかも数学が大の苦手で万年赤点。


そんな彼を一言で表すなら、ヘタレ。


「ななななずなちゃん……ぼっ、僕なにかしましたか………?」


ほら、今だって。

わたしが大声出したくらいですぐ動揺して今にも泣きそうな顔をしてる。


「ごめんごめん、なんでもないよー!」