「あ、なずなちゃん!」


「こんにちは……!」


わたしたちがお店の前に着くと、エプロンを身にまとった萩原先輩が、ちょうどお店から出てくるところだった。


まっ、眩しい……!

これが噂のエプロン男子というやつか。

先輩のエプロン姿を独り占めできちゃうなんて、贅沢すぎない?


「店の手伝いで迎えに行けなくてごめんね。迷わなかった?」

「はい!全然大丈夫です!」

「ならよかった」


にこりと優しく笑う先輩に、わたしは今日も心臓を撃ち抜かれる。

あぁ、今まで生きてきた中で最高に幸せな瞬間かも……。


「あれ、そっちの子は?なずなちゃんの友達?」


わたしの後ろにひょっこりと隠れていた桃矢を見て、不思議そうに首を傾げる先輩。

そりゃあ気になるよね。呼んでもいないやつがいるんだもん。


「えっと、この人は…………」

「幼なじみの杉浦桃矢です!今日はなずなちゃんの付き添いとして来ました!」