「これは王子様からの愛がたっくさん詰まった言葉なの!それにわたしはこういう人が理想のタイプなんだから」
持っていたマンガ本をバッと蘭に見せつけて「ほら、素敵でしょ?」と、言葉を繋げた。
しかしどうも納得いかないらしく「まぁ、なずなみたいな恋愛脳にはお似合いかもね」なんて毒を吐かれる始末。
うぅっ……蘭の意地悪……。
恋愛脳なんて言われて反発したいところだけど、あながち間違ってはいない。
入学してから3ヶ月近く経つが、未だに男っ気なしで彼氏いない歴=年齢という虚しい記録を更新している最中。
周りはどんどん彼氏ができて幸せそうなのに、わたしだけ売れ残りみたいに独り身のまま。
わたしだってお昼には一緒にお弁当食べたり、放課後は一緒に下校したり、休みの日にはデートしたり、理想はたくさんあるのに。
彼氏がいないことによってこの理想が何ひとつ実現できていない。
だから余計、恋愛事には敏感になっているのかもしれない。
「いつになったら素敵な王子様がわたしのこと迎えに来てくれるんだろう……」
お気に入りのマンガ本をペラペラとめくるたび、何度もため息が零れてくる。
優しくて、かっこよくて、誰よりもわたしを好きになってくれる王子様。
高校生にもなってまだそんな夢見てるの?と、バカにされても気にしない。
何年経っても変わらないわたしの理想なんだから。