「変に気取ったりしないで、いつものなずなでいいんじゃない?あたしには劣るけど顔はそんなに悪くないし」
「それって褒めてるの?」
「うん、ものすごく褒めてる」
いつものわたし、かぁ。
そうだよね、着飾ったわたしを好きになってもらっても嬉しくないよね。
ありのままのわたしを先輩にぶつけて、真っ直ぐ恋をした方がキラキラして見えるかな。
「わかった!いつものわたし全開で先輩にアタックしてくる!」
ガタンッと椅子から立ち上がり、読んでいた本を鞄に突っ込んだ。
「え、今から?」
「うん!昨日借りたハンカチを理由に会いに行こうと思う」
今この瞬間に萩原先輩に彼女ができない保証はない。
モタモタしてたら取られちゃうかもしれないし、何よりわたしが先輩に会いたくてたまらないから。