「『最近目の調子が悪いんだ。キミと出会ってから僕はキミしか見れないよ』」
ふふっ………。
ふふふふっ………………。
「はぁ………もう、最高っ!!わたしもこんなセリフ1度でいいから言われてみた〜い!」
手には1冊のマンガ本。
頭上にはご機嫌なハートがふよふよと浮いている。
「げっ、そんなキザな男がいいなんてありえないわ」
「キザでもいいじゃん!かっこいいことには変わりないんだからさ」
「まじで?趣味悪っ」
わたしの反論を聞いても尚、目の前に座る彼女は頑なに考えを曲げてくれない。
曲げるどころかわざと不味そうにパンをかじっている。
んー、女の子なら1度でいいからこういうロマンチックなセリフ言われてみたい!って思うのになぁ。
わたしなら毎日言われたって足りないくらい嬉しいのに。
「はぁ……幸せ……」と、吐息混じりに零しながら、もう片方の手に持っていた箸でご飯を口に運んだ。