「こりゃあ、告白大会も怪しくなってきたね」
「え、怪しいって?」
「杉浦目当ての女子が出場するかもってこと」
「えぇ、そんなこと………」
そんなこと、あるかもしれない。
だって、わたしと皐月以外の全員が桃矢の周りに集まっているんだもん。
何人かは野次馬程度かもしれないけれど、本気になる人だっているはずだ。
もしも桃矢が誰かに告白されたら。
もしも桃矢がわたしの返事を待っていなかったら。
わたしは失恋することになる。
「なんで……」
グッと力任せに唇を噛んだ。
わたしの方が先に桃矢を好きになったのに。
ついさっきまで笑っていた人たちに取られたくないよ。
桃矢をバカにしないでと思っていたけれど、桃矢の良さを知られるのも嫌だった。
これって矛盾だよね?
桃矢が本当はすごくかっこいいってこと、みんなは知らなくてよかったのに。