「っ………ふっ……」
溢れる涙を何度拭っても、とめどなく流れ続けた。
いっそのこと、わたしも涙と一緒に流れて消えてしまえたらいいのに。
そうすれば誰にも迷惑をかけず、自分の世界で生きていけるのに。
「………っ、」
そして、止まらない涙をぐっと堪えた次の瞬間………。
「なずな」
背中越しに声が聞こえて振り返った。
うそ………。
まさか追いかけてくるなんて……。
「と、桃矢…………」
「ったく……走るの速すぎ」
振り向くと、そこには桃矢がいた。
じわりと浮き出た汗を拭いながら、わたしの前に腰を落として言う。
「急に逃げるから探しただろ」