「あのさ、桃ーーーーー」
「赤点取ったのも、本当は萩原先輩とデートばかりしていたせいですか?」
「…え?」
「浮かれて勉強なんか忘れてたんでしょう?」
けれど、わたしが声を出そうとした瞬間。
タイミング悪く重なった桃矢の声に負けて、言い終わる前に掻き消されてしまった。
しかも桃矢が零した言葉はあまりにも衝撃的すぎるもので。
「急に何言ってるの……?」
わたしの思考を停止させるには十分すぎるくらいの破壊力があった。
赤点取った理由が先輩とデートをしていたから?
それは勘違いにもほどがある。
だって、わたしが赤点を取ってしまった理由は、目の前にいる桃矢が原因なんだから。
桃矢のことを考えすぎて、勉強に集中できなかったんだもん。
本人を目の前に言えるわけがないけれど。