わたしのプリントを横から奪い取って、桃矢が「借りますね」と、笑う。

その穏やかな笑みにドキッとしてしまったのは、わたしが単純な恋愛脳だからかな。


まぁ、本人がそう言うならこれ以上は止めたりしない。

どうせ「やっぱり無理でした」って、言うに決まってるから。


特に期待もせずにぼんやりして数秒。


「はい、できましたよ」


と、わたしにプリントを向けた。


「え……できた……?」


いやいや、どうせ適当な答えを書いたに決まってる。

いくらなんでも早すぎるし、これであってたらわたしの方がバカってことじゃん。


けれど、手に取ったプリントを見てギョッとした。


「嘘……全部書いてある……」