「全く………そうやって簡単に1人にさせるから、なずなちゃんが怖い目に遭うんです」

「え?」

「なずなちゃん、さっき男の人に絡まれてたんですよ。僕が助けなかったから今頃どうなってたか……」


桃矢がチラリとわたしを見る。

いい加減黙ってばかりじゃいけないと、わたしも恐る恐る顔を上げた。


「えぇ!そうだったの!?ごめんね、なずなちゃん!」

「い、いえ!先輩は悪くないですよ………!」


先輩が申し訳なさそうに肩を落としたから、わたしは慌てて首を振った。


謝らなきゃいけないのはわたしの方なのに、先輩に言わせてしまうなんて最低だ。


「わたしがマヌケだっただけですから、本当に気にしないでください!」

「そう言うわけにはいかないよ!一応これでも彼氏なんだからさ」


「そうそう。彼氏ならしっかりしてください」