「っ、はぁ………」


強張っていた肩の力が一気に抜ける。

ゆるゆると力を失って、そのままベッドに倒れこんだ。


………バカだな、わたし。


なんで引きとめようとしちゃったんだろう。

引きとめたら、今よりもっと状況が悪くなるってわかるでしょ。


「情けない……」


自然と言葉が漏れてから、ようやく頭の中が落ち着いてきた。

熱の引かない唇にそっと指を当てると、上書きされた桃矢の感触が残っている。


桃矢のせいで、先輩とのキスが思い出せないや。

先輩と両想いになれた記念日なのに、記憶に残るのは桃矢のことばかり。


これじゃあ、いつもと変わんないじゃん……。