ぐっと押し付けられる唇が苦しい。
「や…………んんっ…、」
どうにか逃げようと抵抗しても、ぎゅっと両手首を掴まれて、動きを奪われる。
そして、何度も何度も角度を変えて、桃矢はわたしに深いキスを落とす。
唇が熱い。呼吸が苦しい。
先輩としたキスを上書きされていくみたい………。
「っ、はぁ……」
ようやく解放された唇から息が漏れた。
足りなくなった酸素を必死で吸っていたら「余裕ないね」と、桃矢が笑う。
なんで………なんで、そんなこと言うの。
わたしの知らない顔をしないでよ、バカ……!
その言葉に腹が立って、
ーーーバシッ!
気がついたら、考えなしに桃矢の頬を叩いていた。