「………」


すると桃矢は、あの日のようにゆっくりとわたしに近づいてきた。

っ……。


身動きが取りにくいベッドの上で、怯えながらも桃矢と向き合ってみる。


吐息まで届きそうなほど近い距離。

逃げたくなる気持ちをぐっと抑え込んだ。


「へぇ……」


わたしがドキドキしていることに勘付いたのか、桃矢が聞き慣れない声色を漏らす。


そして、真剣な瞳でわたしの顔を覗き込んで言う。


「先輩とキス、したの?」

「………!」


ゾクッと背筋に緊張が走った。


嘘をついても……きっとバレる。

直感的にそう感じたから、怖いけど正直に答えようと思った。


けれど、その考えは彼の地雷を踏んでしまったらしい。


「し、したよ!彼女なんだし別にいいじゃ…………、んっ……!」


最後まで言い終わる前に、強引に唇を塞がれた。