「じゃあ、今日からよろしくね。俺の彼女さん」
「はい!先輩の彼女です!」
嬉しかった。
ただ、単純に。
大好きな先輩と想いが通じ合えたんだもん。これ以上の喜びはないよ。
今日からわたしの隣には、先輩がいてくれる。
だからもう、ふらふら揺れたりしないよ。
再び先輩の手を握ると、先輩もぎゅっと握り返してくれた。
目が合ったらお互いに微笑んで、訪れた幸せを噛み締める。
「なずなちゃん」
「はい、なんですか?」
「好きだよ」
「わ、わたしもです……!」
今、この瞬間だけはたしかに。
桃矢のことを忘れられたような気がした。