桃矢なんか関係ない。

桃矢なんか好きじゃない。


そう自分に言い聞かせてから、また先輩と向き合った。

今度はわたしが真っ直ぐに先輩の顔を見据える。

そして、振り絞るように声をあげた。


「わたしも、萩原先輩が好きです! 」


ようやく言えた自分の気持ち。

口にしたら心が軽くなって、自然と顔が綻んだ。


「やばい、すげぇ嬉しい……」

「わっ……!?」


ぎゅっと、先輩に体を抱き寄せられる。

ドキドキと響く鼓動は、わたしだけのものじゃない。


先輩の音が聞こえる。

先輩もわたしと同じくらい、ドキドキしてくれてるんだ……。