言葉が溢れた。

口にしたら、なんとなく会えるような気がしたから。


……そんなわけないか。


運命の糸で結ばれた相手ならともかく、わたしはただの後輩の1人。

わたしは先輩を運命の相手だと思っているけど、たぶん先輩は違う。


「ははっ……」


乾いた笑い声だった。

なぜこんな風に笑ったのか、自分でもわからない。

疲れているせいなのかな。それとも、急に寂しくなったのかな。


隣を見ても誰もいない。

そんなの、1人で家を出たんだから当たり前だって思うよね。

でもね、違うの。


いないんだよ。あいつが。


……桃矢が、わたしの隣に。