ちらりと、窓の向こうを見た。
わたしの部屋の向かい側に、ちょうど桃矢の部屋がある。
電気が付いていないから、たぶんリビングにいるのかな。
「桃矢……」
今考えなきゃいけないのは、萩原先輩のことなのに。
桃矢との思い出が詰まったこの部屋じゃ、どうしたって桃矢のことを考えてしまう。
桃矢がわたしを好きなのはわかったよ。もう疑ってないし、冗談だとも思わない。
でも、わたしは先輩が好きだから、桃矢の気持ちには答えられない。
答えは決まってるんだから、わたしも桃矢みたいに自分から動けたらいいのに。
わたしの長所は真っ直ぐなところだと、蘭が言ってくれた。
今のわたしは桃矢以上のヘタレだ。
オフのスイッチがずっと入ったままなんだよ。
このままじゃ、だめだね……。