時間っちゅのは経つんが早ようて、もう昼や。
階上のレストランへ行ったら、まだギンらは来てへんわ。
ここで合流して、こっから先また一緒に行動すんかいな?
嫌やな。そっと抜けだそか。


「これからどないする?どっか行きたいとこあるか?」


ギンに目一杯、『お前らと一緒は嫌やで』アピールしながら聞いたった。


「あの遊覧船乗りたいです。」


美咲ちゃんの指さした方にはでっかい遊覧船が停泊しとった。
あんな中に閉じ込められたら、ずっと一緒に行動やんけ。
思たから、ギンに近づいて、ギンの耳元で、


「ギン、俺ら電車で帰るから、後は二人で、よしなに。」


何でギンにこないな色声使わなあかんねん思いながらも、彩葉の手取って、ギンらから離れたった。


「彩葉、どこ行きたい?」
「真子さんとなら、どこでも良いですよぉ。」


言いながら、コテっと俺に肩に頭を預けてくる彩葉は、ほんまに可愛いて、外や言うこと忘れて抱き締めそうになったわ。
しゃーかて、ガッツいたらあかん。中坊ちゃうんやから、ここはスマートにな。スマートに。
そういや、電車で2駅向こうになんや新しいショッピングモール出来た言うてたな。そこでええか?


「2駅向こうのショッピングモールでええか?」
何か、買うたるわ。


そない付け加えて言うたら、『ありがとうございます。』言うて、繋いでた手、ゆっくり握り返して来よった。ほんま可愛えぇやっちゃ。



「これ、可愛い。」


ショッピングモールで入った1軒の店で、彩葉が見つけたブレスレット。
プラチナの細い鎖が彩葉の細うて白い腕によう似おてる。


「お姉ちゃん、これ貰うわ。」
「え?良いですよ。これ結構高いですし。」
「ええねん、俺が買うたりたいだけやから。気にしたらあかん。」
「ほんとに良いんですか?」
「その代わり、絶対外すなよ。」


口の端をニィっと上げて頭クシャっとしながら言うたら、ほっぺ、ピンクに染めて頷きよった。