放課後になり、高校でも帰宅部を満喫している私は、今日もさっさと帰ろうとしたところで。
廊下を歩いていて窓の外の激しい雨に、思わず溜め息をついた。
六月だもんな。ばりばり梅雨入りしてるしな。そりゃ雨も降るよな。
……私、傘持ってない。
仕方ないのでとりあえず気合いを出して校舎を出ようとしたところで、やっぱりこれは無理だと悟る。大雨で数メートル向こうが白く見える。
職員室行ったら借りれるかなあ、善意の傘。
それが駄目ならゴミ袋借りて被ろう。
と、職員室に行こうと振り返ったとき。
「……げ」
失礼ながら、思わずそんな声が出た。
今正に帰ろうとしていたらしく私の後ろに居た日野雄大と、ぴったりと目が合う。
その手には当然、きちんとビニ傘があって。