「私もあんなに完璧な人初めて見たよ。凄いよねー」


……一ヶ月前のことを思い出してまたムカムカしていた私は、ひかりのそんな言葉ではっとした。


「ああ、うん」


曖昧に返事をしながらも。

全然完璧なんかじゃない。
性格以外完璧だけど、その全てを帳消しするくらいの性格の悪さ。

……と、言っても誰も信じてくれないような言葉を心の中で吐き出して、歯痒い思いをしていた。



私はあの日以来、あいつのことを心の中で〝日野雄大〟と呼び捨てにしている。
くんをつけてあげるような男じゃない。


日野雄大は私の目の前の席で皆に囲まれながら終始爽やかに笑っている。

……猫を被るのが随分お上手みたいですね。