「日野さんと昼休み毎日会ってたから気になっててんな。どういう関係なん?お前ら」
「……お前、日野ちゃんのこと好きなの?」
どういう関係か。
一言で言えばまあ奴隷だ。
しかしそんなこと言えるわけもなく、俺は話を逸らす。
あおいは俺の狙い通り、にこにこと気持ち悪い程の笑顔を見せてきた。
「心配すんなって!俺にとっての日野さんは〝好きな女〟じゃなくて〝女神様〟やから」
「ごめん意味分かんない」
女神様。だと。日野ちゃんが?
有り得ない。そういうキャラでは絶対ないだろ。
「食堂の自販機でお釣りを取り忘れた俺に気付いて渡してくれたあの日から!俺は日野さんを女神様として崇めてんねん!」
熱く語るあおいの頭の中にはもう宿題のことなんかないんだろう。
単純な男だ。
「……惚れてるわけじゃ、ないんだ」
「だからそうやって。そんな心配そうな顔すんなや、可愛いなあ」
心配そうな顔。そう言われて否定できなかった。
その代わりにあおいを睨み付ける。