なにこれ幻聴?
と、軽くパニックに陥っていると、日野くんは怠そうに、そばにあったベンチに腰を下ろした。

すると今度はズボンのポケットに手を突っ込む。


……出てきたのは、白い箱。


おいおいまじかこれ。と、戸惑っているうちに、日野くんはその箱から一本煙草を取り出した。

その煙草を口に運び、青色のライターで火をつける


……日野くんの、喫煙シーン。


「返すの忘れたな、これ」


はっきりとは聞こえなかったけれど、たしかそう言ったと思う。


日野くんは煙を吐き出しながら、先程女の子から渡されていた手紙を見つめている。

暫く見つめたあとで、日野くんはまた衝撃な行動を取る。


……ぽい。正にその音が似合うくらい、日野くんは簡単にその手紙を丸めて、側のゴミ捨て場へ投げ込んだ。

ナイッシュー。……じゃない!
せめて中身読めよ!お前は悪魔か!

思わず心の中で叫んでしまった。




──とにかくあの日、印象最高レベルだったクラス一の人気者、クラス一の優等生の日野くんの印象は、最低レベルまで落ちた。