「あ、貴方は…!!」


「美琴ちゃん、今さっきぶりだね!まさか同じクラスだとは思わなかったよ!」


「本当とですねっ、今朝はありがとうございました。」



一瞬驚いた顔をした美琴ちゃんだけど、微笑みを浮かべては今時の高校生では無いような綺麗な挨拶を返してくれた。



「ちょ、ちょ、ちょ…どーゆーことよ???俊、お前の知り合い⁇」


さっきまで自慢するように彼女の話をしていた健太が一気に下手に出る。



「おう!朝、運命の出会いを果たしたところだぜ。」


「転けそうになったところ助けてもらっただけです。」


ふふっ、と笑って軽く流されてしまった。


やっぱり美人はこういうのに慣れてるだろうか。



「おーーー。なら丁度いいー、水嶋ーーお前花房に学校案内してやれーーー。」



「了解っす!!」



「おいおい、ちょっとずるいぜ俊!」

「ほんと、俺らだって美琴ちゃんに知ってもらいたいんだぜ⁉︎」



(じゃあ、お前らあの美人の横に立って学校案内する自信あんの?)


俺はクラスの男子が集まったところでコソッと言った。


「うっ……。」




自分で言うのも何だか、俺は結構カッコイイと思う。




ーーーキーンコーンカーンコーン…



「お!丁度チャイムもなった事だし、美琴ちゃん行こっか!」


「ーーちょっと待って!」


俺が美琴ちゃんに駆け寄ると、“あいつ”に腕を掴まれる。




「わたしも行くわよ?」


まじかよ……。

俺は思いっきり嫌そうな顔をした。



「そんな顔しても無駄〜〜〜!」



あっかんべーと俺に見せつけてくる。

そして俺の前に立ち美琴ちゃんとの間に入り込む。


「私、時田 明音(トキタ アカネ)!よろしくね、美琴ちゃん!」


そう言って美琴ちゃんの両手を包み込むように握手する。



邪魔奴が来た…。