そして背を向けてしまう。

余計な事を言ってしまったかなと思い、リツの背中を見つめながら私は唇をかんだ。

だけどその背中が小刻みに震えている事に気が付いた。


「……リツ?」

「そんな事言うから、出て来たじゃねーか。……涙」


振り向きもせずにポツリと言ったリツ。

私はそんな彼を後ろからそっと抱きしめる。


「泣きたい時は泣けばいいんだよ……」


その言葉に返事はなかった。

見えないけれど、きっとリツは静かに涙をこぼしている。

震える背中にもたれて、私は視界に入る星を見ていた。

淡く光る星がいくつも流れてくる。

星が降り注いでくるかのように……。


「リツがまだ死んでいないのなら、私はこの先、リツと一緒に生きていきたいよ……」


つぶやくように言うと、リツがこちらを振り返った。

もう彼の目に涙はない。