「元の生活に戻りたくなくてずっとここを彷徨っていたんだ。オレがいなくなればすべては上手くいくんだって。……結月に偉そうな事を言ってきたけれど、本当はずっと怖かった」
「リツ、ごめんね!私、リツの心の闇を聞く事も受け止める事もしなかった……っ!」
「そんな事ない。結月がいてくれるだけですごく心強かった」
そう言って優しく笑うリツ。
今までずっとそんな風に笑って、自分の苦しみや悲しみを押し殺してきていたんじゃないだろうか。
自分が笑えば、誰も困る事がないって。
「……泣けばいいじゃん」
「え……?」
私の言葉にリツがキョトンとする。
さっきやられたお返しとばかりにリツの頬をブニッとつまんでやった。
「辛いなら辛いって泣けばいいじゃん。ずっと泣きたかったんじゃないの?そんな無理矢理笑ったって、悲しいだけなんだからね!」
「……バカじゃん」
そう言って、リツは私の手を振りほどいた。