兄貴っていう事は、川上君が話していた入院している弟ってリツの事だったの……?


「じゃあ、川上君と双子?」


双子にしては全然似ていない。

二卵性双生児っていう事なのかな……?

そんな風に思っていると、心を読んだようにリツは笑って首を横に振った。


「弘貴とは双子じゃない。血は繋がってるんだけどな」

「双子じゃないけど血は繋がってる?」

「そう。異母兄弟」


異母兄弟……。

そのワードで、リツが昨日複雑だって言った事が理解できた。

「オレ、実は愛人の子で、小学生の時に母さんが死んでから今の家に引き取られたんだ」

「リツ……」

「弘貴も含めてあの家族は優しくしてくれる。けど、どこか気を使われているような感じがして息苦しかった。オレだけが異質なんだってずっと考えてた」


会うたびに笑顔を向けてくれていたけれど、リツもずっと闇を抱えていたんだ……。

私ばかりそれを吐き出して、リツの話を聞いてあげられなかった上、受け止めてあげる事もできなかった。