昨日、春奈サンが車で学校に迎えに来て川上君を月見沢総合病院でおろした後、赤信号で止まった交差点。
あそこで私はリツの姿をハッキリと見ている。
あの場所でリツが一ヶ月前に事故に……。
そういえば、この前先生も高校生が信号無視の車にはねられる事故があったから、信号が青でも油断しないようにとか注意を促してた。
それがリツの事だったなんて……。
「それからずっと夜はここに、昼間は病室にいる。最初に会った時に言ったじゃん。日中は引きこもるタイプで夜になったら活動するんだって」
「確かにそうかもしれないけど……」
「だからさ今度はオレのところに結月が会いに来てよ」
「会いに来てよってどこに?」
私が聞き返すと、彼は肩をすくめてどこかを指さした。
リツが指した方向を見ると、そこはさっきまでいた月見沢総合病院。
「全て、“川上君”が知ってるから」
「……川上君?」
川上君って、昨日ここにいた川上君?
リツの姿が見えていなかったあの彼……?
「彼……川上 弘貴(かわかみ ひろき)はオレの兄貴」
「あ、兄貴……?」
私の声はかすれていた。
驚いて声を出すのがやっとだったから。