「結月、そこで何してんの?ここ来なよ」


立ちつくしていると、リツが私に気が付いて自分の隣を指さした。

こみ上げてくる涙をグッとこらえて、私はジャングルジムにのぼる。


「妹は大丈夫だった?」

「うん……。妹は事故に遭った人を救護しただけで、事故に巻き込まれたわけじゃなかったの」

「そっか。それなら良かったな」


そっと頭をなでられて、私はうつむく。

ほら……。

幽霊だったら、こんな風に触れる事なんかできないんだから。


「血相抱えて駆け付けたっていうのに拍子抜けしちゃった。後から来た親もびっくりしてたよ」

「……じゃあ、上手くいったんだな?バラバラになっていた家族と」


上手くいったって言うのかな?

少しずつまとまろうとしていっているのは私でも感じ取れる。


「うん。それに、お父さんが生前お母さんが書いた手紙を預かっててね、そこにお父さんへのお母さんの気持ちが書かれてあったの。お父さんの本音も聞く事ができたし」

「良かったな……。よく頑張ったな」


リツに再び頭を優しくなでられながら私は何度もうなずいた。