「あ、そうそう。さっき病院から電話があって、事故に遭った人が意識を取り戻したみたいで、もう心配ないですよって」

「それは良かった……」


私は実際にその事故を見たわけではないし、特に何の感情もわかなかったけれど、えみりはホッとした事だろう。

無我夢中でその人の事を助けようと自分の手に傷を負う事なんておかまいなしだったのだから。


「それじゃ、行って来ます」

「いってらっしゃい……」


お母さんが亡くなってから、この家で普通の家族のように言葉を交わした事は初めて。

こんな事は絶対にないと思っていたのに。

リツと出会わなければ、全てが崩壊していたと思う……。





夕日が西の空を茜色に染めていく。

星を見るにはまだ早い時間だったけれど、私は家を出て公園に向かう事にした。

夕方に近づくにつれて、流星群のニュースは大きく取り上げられていた。