部活に入らないし、これを持っていてどこかに落としたら黒木さんに迷惑がかかってしまう。

グシャッとメモを丸めると、ゴミ箱に放り投げた。

制服をきちんと戻してパタンとクローゼットの扉を閉めたところで、部屋のドアがノックされる。


「結月ちゃん、これから出かけてくるけれど何か買ってきて欲しいものとかある?」


ドアの向こう側から春奈サンの声が聞こえて来た。

ノックされただけでドアは開かない。

春奈サンには散々嫌な態度をとってきたから、こんな風に声をかけるだけで精いっぱいなのかもしれない。

私が勢いよくドアを開けると、私と目が合って春奈サンは驚きの表情を浮かべている。

開けるとは思っていなかったのかも。


「今のところないです。あ、それから私、出かけるので夕飯はいらないです」

「そ、そう……」


私の言葉に春奈サンが落胆したような顔になる。

もしかして、4人で食卓が囲めると期待していたとか?