「あ、そうそう。私、県立中央高校が第一志望だから」

「……本気で言ってる?」

「結月は知らないだろうけど、私って結構成績いいんだよ?」


ああ、そうだったんだ……?

知ろうともしなかったし、興味もなかったから初めて知った。


「それじゃ、合格したら一緒に通学する事になるね」


フフンと笑って少し意地悪く言うと、えみりも意地悪そうに笑う。


「大丈夫。部活に入って一生懸命に汗流すから」

「部活……」


えみりの言葉に部活の事が頭によぎる。

家に帰りたくなくて、時間がつぶせるような部活がないか探していたのはまだ先週の出来事だったっけ。

リツと出会った事で、部活に入る必要がなくなったんだけど。

私はクローゼットを開けて、制服のブレザーの内ポケットから生徒手帳を取り出した。

黒木さんからもらったメモがまだ挟まっている。