リツはえみりが時々、あの公園でカツアゲにあっているのを見た事があるって言っていた。
それなのにえみりの方は、リツの姿を見た事がない……。
心臓がギュッとわしづかみされたように痛みだす。
「な、何よ?そんなに感謝して欲しかったわけ?」
「え?」
悲しみが顔に出ていたのか、えみりが私を指さしながら聞いてきた。
違うんだよ……。
リツがあの場所にいた事を誰かに認めて欲しかっただけなんだよ……。
私しか見えていないなんて信じたくない。
ただこれだけなんだ……。
「あーあ。結月はそこそこ美人なんだから、彼氏作って高校生活もっと楽しんだ方がいいよ。ひとりで天体観測なんかするよりさ」
「……興味ないし」
何で年下にこんな事を言われなくちゃならないんだか。
「えみり、そろそろ行くよー」
「はーい」
春奈サンの声に反応して、えみりは部屋を出て行こうとして足を止めて振り返る。