嘘…。なんで…。
「消えるって…」
「文字通り、消滅するってこと。だから、もう一生美優とは会えない。」
「な、んでっ!わたしもっ、銀ちゃん、のこと好きだよっ?離れたく、ないよ…。」
「ごめんな。美優。言い逃げみたいになってごめん。」
銀ちゃんの体が透け始めた。
「やだっ、銀ちゃん!消えないで!!」
「美優、本当にごめん。…俺のことなんか忘れて、幸せになって。」
「銀ちゃん以外の人なんて、好きに、なれない!!」
「美優、ごめん…。…愛してるよ。」
そこで、銀ちゃんは完全に消えてしまった。
「銀ちゃん!!やだよ!!銀ちゃん!!」
もう、返事は返ってこない。
銀ちゃんって呼んだ時の微笑みも、暴言も、あの、優しい歌声も。
もう、一生感じられない。
銀ちゃん、ひどいよ…。
こんなに苦しいなら、好きにならなきゃよかった……。
あれから、1週間が経った。
今でも、壁にはドリームキャッチャーが付けられたまま。
銀ちゃんが消えたっていう、現実から逃げたかった。
でも、それも今日で終わり。私は、ドリームキャッチャーをしまう決心をした。
銀ちゃんが“俺のこと忘れて”って言ったから。
ドリームキャッチャーを見ると、銀ちゃんのことを思い出してしまうから。
私がドリームキャッチャーをしまおうと、引き出しを開けると、見覚えのない、裏向きの封筒が入っていた。
表を向けると、
『美優へ』
『銀ちゃんより』
そう書いてあった。
うそ…、銀ちゃんが?
私は急いで中から便箋を取り出した。
『美優へ
美優、本当にごめん。これを読んでるってことは、多分、俺は消えてるんだな。精霊でも文字書けるんだってバカにしただろ笑笑
美優、俺は、美優のことを愛してる。ごめんな、恋人同士になんてなれないのに、こんなこと言って。でも、美優に俺の気持ち、知っといて欲しかった。
美優のこと、俺のものにしたかった。
俺のことだから、きっと、忘れろって言ってしまったと思う。
でも……、本当は忘れないでほしい。俺のこと、一生覚えていてほしい。
美優に好きな人ができても、子供ができても、俺のこと、忘れないで。
ずるくてごめん。勝手でごめん。
でも、美優のこと、誰よりも愛してる。
銀ちゃんより』
銀ちゃん……。
ごめんね、忘れようとして。
銀ちゃんのこと、一生忘れない。
これから先、銀ちゃんより素敵な人になんて、出会えない。
安心してね?私は一生、銀ちゃんのものだよ。
だから…
「おやすみ、銀ちゃん。」
とても心地よい音色。
美しい歌声。
あなたとの思い出があるから、私は生きていける。
銀ちゃん、愛してるよ。