とても心地よい音色。



美しい歌声。



あなたがいるから、私は生きていられる。
「美優!これあげる!!美優が欲しがってた、安眠グッズ〜!」



私は坂木美優。最近、悪夢が続いて寝不足気味。それを親友の雪村飛鳥に相談したんだけど...



「飛鳥、なにこれ?…ドリームキャッチャー?」



「そう!これが売ってる雑貨屋さんの店員さんがかっこよくてねー。勧められて買っちゃったから、美優にあげる!!」
出た、飛鳥の悪い癖。
イケメンに弱すぎるところ。



「あげるって言われても…。」



「使ったらいいじゃん。けっこう効くらしいよ。それ。」



「だって私、おまじないとか嫌いだもん。」



そう、私はそういう類いが大嫌いで…。
仮に効いたとしても『こんなのただの偶然じゃん。』って思っちゃう人なんです。
「壁に飾っとくだけで、悪夢見なくなるんだよ?それ、可愛いしいいじゃん。美優の部屋にも合うと思うよ?」



「えー...。」



使いたくないんだけどなー...。



「美優?親友から貰ったものはちゃんと使ってくれるよね??美優は友達思いのいい子だもんね??」



「ゔっ…、使えばいいんでしょ!使えば!!」
「さすが美優!」



私から言わせればさすが飛鳥だよ…。
私の扱い方うますぎるでしょ…。



「じゃあ、飛鳥は帰るね。ちゃんと使ってね?ドリームキャッチャー!」



「わかったよ。バイバイ。」



飛鳥が帰ってから、言われた通りドリームキャッチャーを壁に取り付けた。



こんなんで本当に見なくなるのかなー、悪夢。



「まあ、いいや。」



そう呟いて、私は自分の部屋を出た。
小さな窓しか無く、薄暗い部屋。



外からは叫び声が聞こえてくる。



早く逃げないと、私も殺されてしまう。



その時、



〈ドンドンドンッ!!!〉



扉を叩く音がした。



誰…?
まさか、あいつが…?



この部屋には鍵が付いていないから、すぐに入ってこられる。



どうしよう、逃げなきゃ…。



でも、小さすぎて窓からは逃げられない…。



やだ、まだ死にたくない…。



その時、ドアがゆっくりと開き、得体の知れない黒い影が部屋に入ってきた…。