賑やかなご両親がいなくなった途端に会話がなくなるのは少し淋しく感じてしまう。
それに、初めて来た拓海さんの実家で、しかも初めてご両親に会わせてくれたのに私はどうすればいいかわからずに布団に包まったまま。
「わ、わたし…」
「ん?」
「あの…っ……拓海さんなら良いんです!」
言いたい事の半分も要領を得ない自分の言葉に呆れてしまう。
きちんと、拓海さんとなら何だってしてみたいんだって言いたいはずなのに。
「えっと…だからっ」
「うん、ありがとう。今はその言葉だけで十分だ。」
話していても私の言葉を先読みしてくれる拓海さんがあまりにも優しく笑うから。
ダークブラウンの瞳がこれでもかってくらいに優しい色を宿していたから、気がついたら自分でも信じられないくらいに大胆になってしまうの。
「拓海さんだったら良いのっ…いろんな事してみたい…」
どう言えば貴方に伝わる?
どう言えば貴方にこの伝えきれない言葉を全て伝えられる?
自分でも信じられない位に大胆に、気が付いたら布団を跳ね退けて拓海さんの胸に飛び込んでいた。
安心できる貴方の胸に飛びついて、当たり前みたいに首に腕を回していたの。
「奏多…」
「…き……好きです…」
愛しています、そう伝えるのはもう少し待ってください。
もう少し、もう少しだけ私に時間をください。