「拓海、双子が産まれるように頑張ってくれよ!」

「父さん…」

「楽しみだわぁ…拓海と奏多ちゃんの子供なら間違いなく可愛いだろうし!早く見てみたいわ。」


本当に…やめてください。
恥ずかしくてどうしたら良いかわからない。


「何だったら挙式より先にオメデタでもいいかもしれないな。」

「そうねぇ、拓海!音弥さんの言う通り先でも大丈夫よ?早く孫を抱きたいもの。」

「二人とも…早く出ていけ!」


敬語すら忘れた拓海さんにお母様もお父様もにこにこと笑顔を見せながら、しかも手を振りながら、やっと部屋を出た。


「……………」

「……………」

「…すまない……嫌になったよな、あんな親で。」


疲れ果てた拓海さんに私はいたたまれなくなってしまい、苦笑をうかべるしかなかった。


「ああ言ってはいたけど……俺は奏多が心の準備できるまでは何もしないよ。」

「拓海さん…」

「だから気にする事はない。奏多が奏多でいてくれれば俺はそれで良いから。」


私を思って、気遣ってくれる拓海さんにドキリと胸が高鳴った。
きっと、変なプレッシャーをかけないようにって気遣ってくれているんだと思う。


でも、拓海さんなら…って思う自分が強くて、それでも付き合う事すら初めての私はそれを伝える術を持ち得ないから。