「いやいやいやいやいや…」
「葵さんは俺では不満かな?」
「滅相もない!ってそうじゃないですって!」
ごめんなさい、私のキャパシティを軽く超える状況に倒れそうなんですけど。
「では、こうしたらどうだ?試しに拓海と交際する。その過程で嫌であれば別れれば良い。」
「…………それは決定なんでしょうか…」
「私はそうなればこれ以上の嬉しい事はないがね。」
ニコニコとしながらそんな事を言われたら断りにくいです。
断ってくれれば、と少しの期待を持ち社長を見れば目が合ってにっこりと微笑まれる。
「御祖父様、その必要はありませんよ。」
もしかして、断ってくれる?
なんて期待がかなり膨らむ私にとどめを刺すのは誰なのか。
「彼女は今日から俺の嫁です。」
「頭大丈夫ですか。」
ダメだ…何が何だかわからない。
どうしたら良いのか、なんてぐるぐる考えていたら、目の前もぐるぐる。
あれ?なんて考える暇もなく、私の視界はブラックアウトしていた。