「拓海、あまりからかうな。彼女は私の大事な孫になるんだからな。」

「は?」

「え?」


至極楽しそうなおじいさんに私と社長の声が重なる。


「御祖父様、それはどういう事です?」

「そのままの意味だ。お前か、それとも彬の嫁にと思ってな。」


呆然としている私の耳に掠めた単語に私はとりあえず、首を傾げていた。

よめ…読め、違う…嫁?


「え…ちょっと、おじいちゃん?!」

「もちろん、無理にとは言わんよ。拓海と拓海の弟の彬、気に入らなければ無理に結婚などとは言わん。」


挙動不審な私に苦笑しながら座るように言われても…それどころじゃあないから。
さらっと言われすぎて嫁とか結婚とか、あまりと言うか全く現実味がない。


「…なぜ急にそんな事を言い出すんです?」

「縁談を断り続けている孫が心配なだけだ。跡取りなどと言うつもりもないが…独り身で年老いては寂しかろう?」


理解があるのか、ないのか。
よくわからないおじいさんの言葉に私は呆然。社長は苦笑を浮かべている。


「ちょ……失礼ですが、私なんかじゃ社長も社長も弟さんも…可哀相、うん、可哀相です!ほら、もっと綺麗な女性が、ね?社長!」

「いや、俺は君で申し分ないが…」

「ほら!申し分ない……は?申し分ない?」


勢い任せに話す私に笑みを浮かべた社長はとんでもない事を言う。
いや、申し分ありすぎませんか?パンピーもパンピーな私じゃ社長に釣り合うはずありません。

しかも、社長とは出会って5分もたってませんって。