アカマツ ナギ。
彼との出会いは。
ネオンが輝く夜の街でだった。
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高校入学して初めての夏。
そこそこ偏差値の高い学校だから、夏休みだって補習が多い。
さすが、進学校。容赦なく大量の課題。
しかし、みんなほとんど文句を漏らさず受け入れる。きっと、いい大学目指す人が多いから、これくらい、やって当然という気持ちなんだろう。
そういう人が集まる学校だもん。
夢を持ってて。
努力して。
輝く未来のため、勉強だって頑張る人たちだもん。
すごいなぁ、と、思う。
私は、別に希望してこの高校に入ったわけじゃないし、特に行きたい大学もない。将来のことなんて、全く考えてない。
よくあるやつ。
ほら、親がここ行きなさいって言うから、なんとなく入った感じ。
小さい頃からテストの点数が悪いと、いつまでも怒る母親の元で育ったから、とにかく勉強していつも母親の機嫌を損ねないようにしてた。
そしたら、自然と勉強だけはできる方になってたんだよね。
それでも、高校受験はそれはもう必死だった。落ちたら何言われるかわからない。そんなプレッシャーと戦いながら、勝ち取った合格。
嬉しい。という感情よりも、良かった。
そんなこんなで、なんとなく入った高校だけど、それなりに充実している。
友だちも普通にいる。
彼氏はいないけど、そのうち作ってみたいとか思ったり。
「チヒロは可愛いんだから、彼氏なんてすぐ出来るって!」
「へへっ、まいちゃんありがとう」
可愛いなんて、中学ではあんまり言われなかったから。
友だちのまいちゃんに言われた時は嬉しかったなぁ
。