「赤城〜!!」

「上条先輩?!どうしたんですか?」

「バトン折れた」

「えぇ!!」

「バトンって折れるんだなっ!」

「ど、どうするんですか?!文化祭までにバトン入りますよ!」

「そのバトン、俺の妹持ってるけど」

私と上条先輩があたふたしていると爽太君が口を開いた。

「そうなのか?!よかった!ぜひ貸してくれ!お前名前は?」

「響 爽太…」

「響。わりーな!よろしくたのむわ!じゃあな!」

嵐のような人だ。と、改めて感じた瞬間だった。

「ごめんね?爽太君」

「別に」

「だけど妹さんがバトンやってたなんて初めて聞いたよ」

「俺が妹いるって聞いてたのか?…前の俺に…」

「うん。…でも、知らないこともたくさんあるから、今の、爽太君に教えてもらうねっ!」

前の、を強調したことを気づいていた。だから私は、今の、を強調した。

「…あぁ。…妹に今日頼んでみるわ」

「うん!よろしくね」