ここはどこだ。
なぜか大広間にいる。
目の前には美男な男達がいる。
そして隣には近藤がいる。
その他にも地味な男と無駄に色気がある男と無口そうな男、優しい笑顔の眼鏡をかけた男、平助と呼ばれた少年もいる。
「お前は間者か?」
土方歳三がそう聞いてきた。
失礼な・・・。
「連れてきといて間者か疑うのか?」
少し声のトーンを下げてそう言う。
「魅羽が間者なわけないだろう!!」
近藤がそう言う。
近藤はいつも俺の見方をしてくれた。
「ところでどうして男装しているんだ!?」
あぁ、これか。
「男装しないと男どもが寄ってくるんだ。
男装してたらしてたで女どもが寄ってくるんだ・・・。」
本当に迷惑極まりない。
「お前がかっこいいからだろ?」
自己紹介もしてない無駄に色気がある男にそう言われた。
初対面の男にそう言われても困るのだが・・・。
「とりあえず自己紹介しましょうか。」
優しそうな笑顔の眼鏡をかけた男がそう言った。
「じゃあ局長の俺から。」
どうやら近藤から自己紹介をするらしい。
「局長の近藤勇だ。
魅羽は知ってると思うが・・・。」
知っているに決まってる。
むしろ忘れたことはない。
「副長の土方歳三だ。」
まだ俺を信じていないのだろう、鬼のような顔をしている。
「同じく副長の山南敬助です。」
この人はとても優しそうだ。
「一番組の沖田総司です♪」
いかにも音符がついている能天気な男だ。
「二番組の永倉新八だ。」
地味な男だと思ったが意外に明るい。
「三番組の斉藤一だ。」
無口そうな男だと思っていたが、これほど無口だとは思わなかった。
「八番組の藤堂平助だよ!!」
こんな犬のような少年に組長を任せてもいいのか心配だ。
「十番組の原田佐之助だ。」
無駄に色気があるがやはりこの男は女癖が悪そうだ。
近「魅羽はこれからどうするんだ?
俺は離れたくないが、魅羽が離れたいのなら・・・。」
泣きそうな目で聞いてくる。
魅「俺は離れる気はない。」
きっぱり言うと近藤は嬉しそうに笑った。
土「ここにいるためには隊士になるしかないんだが・・・。」
土方はそう言うと、
近「魅羽を隊士にさせるのか!?
魅羽は女子だぞ!?」
近藤が怒りながら言った。
魅「別にそれでもかまわない。」
これでも俺は殺し屋だ。
今更、人を殺すなんてことに拒否するわけでもない。
近「魅羽!!」
魅「近藤には言ってなかったんだが、俺は殺し屋だ。」
近藤はすごく驚いていた。
近「なんで言わなかったんだ?」
優しい声だが怒ってることが分かる。
魅「そうするしか生きてこれなかった。
殺し屋をすれば、近藤にいつか会えると思ってた・・・。」
なぜだろう。
悲しくなんかないはずなのに、なぜこんな声が出るんだ。
近「魅羽・・・。
ごめんな、見つけてあげられなくって、迎えに行ってやれなくて。」
違う。
近藤に謝って欲しいんじゃない。
魅「謝らなくていい・・・。
こうして会えただけでも嬉しかった。」
嬉しかった?
こんな感情もうないはずなのになんで勝手に口にしていたんだ。
感情なんて死んでしまえばいいのに・・・。