吉野さんはいろんなものを見ながら、

「いろんなのが売ってるんだねえ」

何かに感動するようにそう言っていた。

別に感動するようなもの売ってるわけではないんだけど、ごく普通のアクセサリーが売ってるだけなんだけど。

それなのにこんな反応するなんて、もしかしてと思って、

「吉野さん、こういうお店入ったことないの?」

どストレートに聞いてみた。

すると吉野さんは恥ずかしそうに目をそらして、実はないとボソッと呟く。


…なんだか意外だ、人は見かけによらないんだなと吉野さんを見た。

学生のお財布にやさしい値段のアクセを、目を輝かせながら見ている吉野さんの瞳が、

光を受けて、また紅を映した。