吉野さんは私を捉えてニコッと微笑む。
長い艶のある黒髪が風に揺れる。
「あのね、ちょっとこっち来て」
静川さんには目もくれないで、私を立たせてさっきの人たちのところに連れて行く。
「ちょっと、いきなりなんなの…」
私の悪口を言っているのは、別に静川さん達だけじゃない。
イジメてるのは静川さん達だけだ。
だけど、地味子で友達のいない私はちょうどいい愚痴の標的になるわけで、
結構悪口を言われていたりする。
…野外活動の班、吉野さんと同じになっちゃってから、さらにひどくなったっていうのに。
渋々とついていくと、私を目の前に立たせ、マジックを見ている人たちを真横に連れてく。
みんなの不満の視線が左半身に突き刺さる。