静川さんはいつの間にか私から離れていて、

「みひろん、どうしたの?」

さっきまで悪口言ってたくせに、吉野さんにそう声をかけた。


吉野さんがクラスの人気者でモテるからって、こうやって悪口言いながらも仲良くするんだ。

てか、吉野さんの周りにいる女子の半分くらいは、そんな理由で吉野さんといる。


いきなり声をかけられて、パッと顔を上げると、人形のように綺麗な顔が目の前にあって。

大きくて吸い込まれそうな黒い瞳が私を捉えていた。

「えっと、何?」

しぼりだした声が若干震える。